本書は、当編集部が独断と偏見で「傑作」と見なした88本のドキュメンタリーを、
作品に関係の深いクリエイター、パフォーマー、文筆家が極私的な視点で論じた1冊である。
今村昌平を敬愛する園子温が「人間蒸発」を、
想田和弘『観察映画』にゾッコンな宇多丸が「精神」を
その想田監督はドキュメンタリー生涯ベストワンの「アトミック・カフェ」を、
久保ミツロウは自作「モテキ」誕生のキッカケを得た「童貞。をプロデュース」を。
脚本家の木皿泉は、同じく夫婦共同脚本家であった
市川崑&和田夏十の愛を描いた岩井俊二監督の傑作「市川崑物語」に思いを寄せた。
ナチのプロパガンダ映画「意志の勝利」を語った18才の女優・二階堂ふみから
「TOKKO」を執筆した戦争を知る82才の映画評論家・佐藤忠男まで、その数、総勢73人。
中には、映画の内容にはほとんど触れず、
作品をダシに自身の人生のみを語った文章もあるが、それもまた望むところ。
最大級の自信も持って言おう。本書に載った全てのドキュメンタリー、
観ずに死ねるか!