■ TV作品紹介

ミゼットプロレス伝説〜小さな巨人たち〜(1992年放送)

 かつて日本のプロレス黎明期には、興業の花形として一世を風靡した存在でありながら、現在はメディアから黙殺され続けている小人プロレス。

現役は2人しか残っていなかったが、かつて逃げ出した選手がまた復帰を願い出た。OBたちも続々集まってきて、実に30年ぶりにテレビマッチが実現する。

森達也は実現不可能と言われていたこの企画を通した後にプロデューサーに回り、ディレクターには後に『こどもの時間』で映画デビューする野中真理子を起用した。



ステージ・ドア (1995年放送)

 新劇の老舗「円」演劇研究所に学ぶ俳優の卵たちの群像ドキュメント。

年度ごとに選考を重ね、最終的に劇団に残れる者はほんの一握り。そんな苛烈な生存競争の中に身を置きながら、演劇への情熱や恋、挫折や希望に若者たちは身を焦がす。

かつて20代は彼らと同じように新劇の養成所に席を置いていた森達也にとって、原点回帰といえる作品。


制作  フジテレビ+ジャパンウェイブ
企画+演出  森達也


教壇が消えた日(1997年11月25日放送)

 教室から教壇が消えつつある。教壇が象徴するものは何なのか?いったい誰が消したのか?という問題提議をサスペンスタッチで描く異色作。

結末は例によって森達也節全開だが、ナレーションに近藤サトを起用するなど、普通を装っている分、森達也としては斬新な作品に位置づけられる。


制作  フジテレビ+グッドカンパニー
企画+演出  森達也




「職業欄はエスパー」(1998年2月24日放送)

 ドキュメンタリー映画「A」の編集作業と並行する形で、撮影・編集が進められた作品。

秋山眞人、堤祐司、清田益章という、「エスパーであること」を職業に選定した3人の超能力者の日常を撮りながら、(撮影者である森達也自身も含めて)彼らを包みこむメンタリティが、「信じること」と「信じないこと」をキーワードに少しずつ露わにされてゆく。

企画自体は、1993年に一度正式に決まりかけたが、清田益章がカメラの前でスプーン曲げを披露することを拒絶してロケ途中で頓挫した作品。

その間の経緯や彼らと撮影者である森達也との愛憎も含めてのルポ『スプーン』は、2001年4月に出版された。


制作  フジテレビ・グッドカンパニー
プロデュース  生野幸一
演出  森達也


1999年のよだかの星(1999年10月2日放送)

 宮沢賢治の童話「よだかの星」にインスパイアされた森達也が、絵本と実写とのコラポレーションという手法で動物実験というジャンルに挑んだ作品。

あらゆる化学物質の商品化の際に義務づけられる動物実験は、特に製薬や化粧品など、大手クライアントの公にされない業務に触れざるを得ないため、テレビ業界ではやはり「タブー」に近いジャンルとなっている。

しかし動物実験の是非を正面から問うのではなく、愛護団体や実験研究者たちの内面の葛藤を描くことで、「生の営み」の絶対的な矛盾が呈示される。


制作  フジテレビ・グッドカンパニー
プロデュース  渡部宏明
演出  森達也


「放送禁止歌」〜歌っているのは誰?規制しているのは誰?〜(1999年11月6日放送)

ドキュメンタリー映画「A」発表後最初の作品。企画自体は6年越しの企画。当初は歴代の放送禁止歌を番組内で紹介し、過去のタブーの変遷を検証するという趣旨だった。

しかしそのレベルでも、各局ドキュメンタリー番組担当からは「放送禁止歌を放送できるわけがない」と一蹴され続ける。

フジテレビNONFIXで放送が決まり、撮影が進むにつれて、放送禁止歌の実体が実はどこにもないことに気づき、企画の趣旨は「過去の規制の検証」ではなく「現在の規制の主体を炙りだす」ことに徐々に変質してゆく。

放送後、解放出版社から部落差別問題についての取材を加える形で、同名の「放送禁止歌」として出版される。

制作  フジテレビ・グッドカンパニー
プロデュース  渡部宏明
演出  森達也


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