巻頭コラム No.287


  いよいよ【森達也塾】が始まります。4月からオンラインで開催。

映像・映画やメディア、社会について対話を通して考え、個として表現するための思考を深めていきます。

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2023.4.16  森達也   



  映画『福田村事件』公式サイト


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連載 替山茂樹のプロデューサー日記 No.7


替山茂樹(『森達也の「ドキュメンタリーは嘘をつく」』プロデューサー)

■2022.9.15.
『福田村事件』の撮影が始まった。
制作資金がままならず、森達也監督はじめスタッフが次々と新型コロナに罹り、台風が直撃し、…等々大変そうな情報が入ってくる。
挙句、森さんが監督のくせに「“スタート”って言うのヤダ」って駄々こねてるとか。
そんなニュースいらん。どんな中二病だよ。

こりゃー、撮影現場見に行かなきゃ。人の不幸は蜜の味。
メイキング監督の綿井健陽さんに電話したら、「ちょっと大変すぎて…。誰もアテンドできないから来ないで」と珍しく泣き言。

というわけで、エキストラとして撮影現場の京都へ行くことに。
僕の役は「男衆12」。
讃岐から福田村(現在の野田市)に来た行商団を取り囲む村民の一人。
永山瑛太さん率いる行商団に鳶口(一間ほどの棒の端にトビのくちばしのような形をした金属製の金具を取り付けた道具)を持って迫る役どころだ。

15日早朝、松竹撮影所に集合。あてがわれた衣装が本格的でびっくり。
さらにドーラン塗って粉はたいてから、現場に向かう。
撮影現場の神社に着くと地下足袋・破けた麦わら帽子・地下足袋・鳶口を渡される。
地下足袋のコハゼを留めるのに一苦労。
で、写真撮ってもらったの見たらリアルなカールおじさんで笑った。
いやー、エキストラは貴重な体験でした。

この日、一番驚いたのは、井浦新さん・田中麗奈さんの差し入れ。
地元から参加したエキストラさん曰く、京都で有名な「焼肉ヒロ」のステーキ&姿焼弁当。
この日はエキストラだけで50人以上。役者さん・スタッフ合わせて150人以上。
数十万円が吹っ飛んだはず。
しかも差し入れはこの日だけではなかったらしい。
森さん「絶対、ギャラより高い出費・・・」。

■2023.5.10.
出社したら、担当番組のデスクM橋さん(井浦新推し)が「井浦さんのインスタに映画『福田村事件』の写真がUPされてましたよ」と言ってスマホ画面を見せてくれた。

「そっか。スチール写真解禁になったんだ」
「替山さん、エキストラしたって言ってたじゃないですか。この写真に映ってますか」
「んー、映ってないなぁ。てか、この写真は映画前半の場面ぽい。僕の役は讃岐から来た行商団に迫る福田村の“男衆12”だから、かなり後半のシーンのはず」
「そうなんですね」
「映画公開されたら観に行って僕の映ってるシーンを探してみてね。…で、見つかんなかったらもう一回観て」
少しでも観客数を増やそうという姑息な手段。
もっとも、台詞もないエキストラだから編集で全部落とされてるかも、だけどね。
と思いながらインスタにUPされた井浦さんの写真をもう一度見る。
…あ。
「何気に井浦さんと僕の衣装がお揃いだ」
「へぇー」
「もし2回観て僕が見つかんなかったら井浦さんを僕だと思い込んでいいよ」(←何目線?)
「え…」
「衣装がお揃いならほぼ同一人物でしょ」
「井浦ファンが聞いたら刺されますよ」
なんならアタシが刺すみたいな顔つきヤメテ。
「僕、大学の卒論は縄文時代後期で書いたし。縄文時代に造詣の深い井浦さんともはや同一人物と言って過言ではな…」
「過言だよ」
被せて否定するのヤメテ。

ということで、全国の井浦新ファンのみなさま、すみませんでしたー!

■2023.7.27.
今日は『福田村事件』の試写会。
0号試写を観た綿井健陽メイキング監督は「替山さん、映ってなかったみたい」。
一方、森達也監督は「結構、映ってるよ」。
嘘つきはどっちだ!
ということを確認しにユーロライブへ。

結論。

なけなしの注意力を極限まで働かせてみると、2カット映ってた。
2カット合わせて1秒足らず。
つまり、「映っている。が、“結構”ではない」。
見事に2人とも嘘つきということが判明しました。

『福田村事件』は猫が大活躍するわけではないし、美味しそうなケーキも出てこない。
しかし、誰もが人を殺すことに直接加担しうることをまざまざと見せつけ、100年経った現代にぴたり重なる問題を描いたという点で必見の作品です。
公開は9月1日から。
みなさん、劇場へGO!

書籍・連載


書籍 2019年1月16日発売『すべての戦争は自衛から始まる』 (講談社文庫) Amazonリンク

書籍 2018年11月15日発売『「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい』 (講談社文庫) Amazonリンク

書籍 2018年10月3日発売『虐殺のスイッチ』(出版芸術社) Amazonリンク

書籍 2018年7月26日発売『憲法が変わるかもしれない社会』(文藝春秋) Amazonリンク

書籍 2018年3月13日発売『ニュースの深き欲望』(朝日新聞出版) Amazonリンク

書籍 2017年11月16日発売『A4または麻原・オウムへの新たな視点』(現代書館) Amazonリンク

書籍 2017年9月22日発売『FAKEな平成史』(KADOKAWA) Amazonリンク

書籍 2017年5月25日発売『不寛容な時代のポピュリズム』(青土社) Amazonリンク

書籍 2017年4月15日発売『同調圧力メディア』(創出版) Amazonリンク

書籍 2017年3月22日発売『少数異見』(言視舎) Amazonリンク

新連載 クーリエ・ジャポン 森達也 ニューヨーク滞在記 「佐村河内守出演の映画『FAKE』をアメリカ人に見せに行く」 クーリエ・ジャポン 森達也 ニューヨーク滞在記

書籍 2016年6月18日発売『オカルト 現れるモノ、隠れるモノ、見たいモノ』(角川文庫) Amazonリンク

極私的メディア論 第67回 あえて再度反論する(『月刊『創』5月号掲載)
PDFファイル公開中

連載 「私たちはどこから来て、どこへ行くのか」
筑摩書房PR誌・月刊『ちくま』4月号(493号)より連載開始
筑摩書房

極私的メディア論 第66回 誘導される民意(『月刊『創』4月号掲載)
PDFファイル公開中

極私的メディア論 第65回 論争以前の二人(『月刊『創』3月号掲載)
PDFファイル公開中

連載 「誰が誰に何を言ってんの?」
月刊「自然と人間」(ダイヤモンド社)
http://www.n-and-h.co.jp/

連載 書評
季刊誌「KOTOBA」(集英社)
http://shinsho.shueisha.co.jp/kotoba/

連載 「リアル共同幻想論」
PR誌「経」(ダイヤモンド社)
「日常の身近な事象から世界を撃つ」をテーマに、日常に潜む共同幻想と
それが引き起こしている矛盾を解きほぐします。
http://kei.diamond.co.jp/

連載 「極私的メディア論」
『月刊『創(つくる)』(毎月7日発売) >>「月刊創」

連載 斎藤美奈子・森達也WEB対談(現代書館WEBマガジン)
http://www.gendaishokan.co.jp/wWWWWW101.htm

DVD


ブックレット寄稿『ニュースの真相』Blu-ray & DVD
ケイト・ブランシェット、ロバート・レッドフォード主演映画『ニュースの真相』Blu-ray & DVDが、2017年2月2日に発売されました。
初回封入特典のブックレットにレビューを寄稿しています。
『ニュースの真相』DVD情報は:こちら

『311』のDVDがマクザムより発売中
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共同監督作品『311』公式サイト

記事掲載


2015年5月24日、茨城県つくば市でのライブ「友川カズキ独演会」の特典として行なわれたトークイベントの映像です。
友川カズキ公式サイト

小説すばる5月号「事件とノンフィクションの2015」インタビュー記事掲載
小説すばる

BOOKSCAN×著者インタビュー
BOOKSCAN

月刊総合文芸雑誌「読楽」10月号(徳間書店 / 9月21日発売)平野啓一郎氏×森達也対談
web本とも

『世界 2012年8月号』論稿「厳罰は有効な刑罰なのかーーノルウェー元法相に聞く」
世界

『週刊金曜日 7/6 / 902号』座談会全員逮捕された「オウム」指名手配犯
週刊金曜日

『キネマ旬報 2012年7月上旬号』(キネマ旬報社) 寄稿 映画「死刑弁護人」の公開に寄せて/『僕の弁護は安田に』
キネマ旬報

『週刊金曜日 6/22 / 900号』寄稿「赦しと死刑囚」森達也
週刊金曜日

民主党機関紙「プレス民主」から「民主党への提言」としてインタビューを受けました。掲載は第282号(6月22日発売)。インタビュアーは有田芳生参院議員です。
民主党機関紙「プレス民主」

たかじんのそこまでやって委員会 「森達也 311を語る」無料動画公開中 
たかじんのそこまでやって委員会

ウェブマガジン「キネプレ」にてインタビューが掲載されました。
ウェブマガジン「キネプレ」

2月に行われた「BOX 袴田事件 命とは」上映後トークの動画がアップされました。
死刑廃止Channel

『ダ・ヴィンチ』6月号(5/7発売)「今月のブックマークEX」にてインタビューが掲載されます。
今月のダ・ヴィンチ

『Quick Japan』101号(太田出版)4月12日発売
特集「僕たちは〈震災直前〉を生きている。」内【レポート】森達也『僕とあなたの「後ろめたさ」――サラヤ国際ドキュメンタリー映画祭 滞在記』
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『311』というタイトルの映画に賛否 被災者にカメラを向け「自分がハイエナのような自覚がありました」と監督が吐露(シネマトゥデイ)
http://www.cinematoday.jp/page/N0036032

『kotoba 季刊誌2011年夏号』(集英社) >> Amazonリンク

〈特別企画〉東日本大震災 対談・佐野眞一×森達也「がんばろう、ニッポン!」の危うさ

TOKYO FM(80.0MHz)「未来授業」
8月8日(月)~11日(木) 18:45-18:50
※TOKYO FMはPCやスマートフォンでもお聴きになれます。→ radiko.jp(関東エリアのみ)
※放送された内容は、Podcastでもお聴きいただけます。→ http://www.tfm.co.jp/podcasts/future/

THE JOURNAL【NewsSpiral】(4/13)森達也:震災
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/04/post_751.html

『婦人公論』(中央公論新社)2011年3月22日号 >> Amazonリンク
徹底検証 獄中手記出版に賛否両論!市橋達也は、心から悔いているのか?
〈「事件」が消費され尽くす日本で〉僕には騒ぎ立てる社会のほうが不思議だった (森達也)

『大澤真幸THINKING「O」』(左右社)7号 >> Amazonリンク
森達也×大澤真幸「死刑をゼロから考える」
http://sayusha.com/sayusha/903500393.html

BPnet「ゆとり世代、業界の大先輩に教えを請う」
オウム真理教の『A』『放送禁止歌』の森達也さんに聞く
~「現場ってなんですか? 編集ってなんですか?」
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100415/221588/(前編)
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100416/221875/(後編)

『マガジン9条』
蓮池透さん×森達也さん 「拉致」解決への道を探る
http://www.magazine9.jp/taidan/006/

第四十三講 森達也選 「死と生」
紀伊国屋本店「じんぶんや」で選書とエッセイを執筆
http://bookweb.kinokuniya.jp/bookfair/prpjn431.html

森達也×香山リカ「死刑制度から考えるメディアと日本社会」
立教ジャーナル('08.7.1.)Vol.3
http://www.asahi.com/ad/clients/rikkyo/taidan/taidan03_01.html

マガジン9条「この人に聞きたい」インタビュー
http://www.magazine9.jp/interv/mori/mori.php





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