連載 替山茂樹のプロデューサー日記 No.6
替山茂樹(『森達也の「ドキュメンタリーは嘘をつく」』プロデューサー)
2019年10月23日
2019年10月23日『i-新聞記者ドキュメント-』特別限定上映会に行ってきた。
挙動不審なまでに「喋りまくり」「バクバク食べまくり」「道に迷いまくり」の望月さんに目が釘付け(というか、そういう編集)。
ホラーっぽい目のアップからカメラを引くと伊藤詩織さん。
籠池泰典さんの話の腰を折りまくる籠池諄子さん。
登場する女性たちに悪意があるとしか思えないような撮り方と編集だ。
にもかかわらず、彼女たちは魅力的である。
望月さんのエネルギッシュな行動は予想以上にカッコよくて、なぜか面白い。
伊藤詩織さんはこれまで厳しい表情や悲しい表情しか見ていない印象だったが、こんなに柔らかい笑顔の人だったんだと驚く。
籠池諄子さんの会話への割り込み方は愛嬌たっぷり。
彼女たちの魅力に森さんの悪意が負けたというか、悪意そのものに無理があったというか。
そもそも、方向オンチで道に迷うのは望月さんではなく森さんの専売特許だ。
望月さんに「方向オンチのようだ」とツッコミを入れるに至っては、思わず「どの口が言うた」と客席で呟いてしまった。
上映に続いて、望月さん・河村プロデューサー・森さんによるトークセッション。
終了後、望月さんに挨拶しに行くと、
「あんなに(自分が)犬食いしているとは思わなかった!(子どもの教育に悪いと)夫に叱られる…」
と微妙にヘコんでいたが、映画の感想そこですか…。
ことほど左様に本作では森さんと望月さんが天然合戦を繰り広げている。
しかし、映画の見どころはそれだけではない。
前作『Fake』の大ヒットで味をしめたのがミエミエなのだが、猫とケーキの映画でもある。
猫好きとケーキ好きは映画館にGo!ただし、観た後の苦情は一切受け付けない。
一般公開は、11月15日から。
森さんの映画が新宿ピカデリーで上映される日が訪れるなんて誰が想像したであろうか。
この映画の関係者はみんなどこかオカシイのだが、一番オカシイのはピカデリーで上映すると決断した河村Pかもしれない。
ところで、本作公開を記念して〈森達也監督特集上映+公開講座「世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい」〉が
11月3日から
シネマハウス大塚で開催される。
映画作品に加え、なかなか観られない激レアTV作品も多数ラインアップされているのでおススメです。
森さんがデタラメ言わないか見張らないといけないので僕も行く予定。
チラシを見ると、「虚実亭日乗」を著した緑川南京さんは毎回来るらしい。森さんのことを“バカ”と罵っているが、緑川さんの作風も相当バカっぽい。とはいえ、久しぶりの再会が楽しみだ。
会場にガタイが良く身長2メートル&ロン毛でラグビーW杯の選手のような男がいたら僕なので声をかけてください。